先端無機薄膜研究室 @ 青山学院大学

先端無機薄膜研究室(重里有三研究室)

青山学院大学 理工学部

主な研究テーマ(過去の研究テーマについてはこちらを参照)

取り組んでいる研究の概要説明

機能性無機薄膜の創製とその高性能デバイスへの応用

重里研究室では、機能性無機薄膜の合成プロセスの開発と物性解析、ならびに環境適合型デバイスの提案、機能性薄膜の機械的特性や熱物性の解析方法の確立に取り組んでいます。

近年、様々な機能を有する無機薄膜は幅広い産業分野において大きな役割を果たしています。エネルギーの高効率化や高性能デバイスの実現、さらにはそれらを利用した快適な生活環境、快適な社会の実現を可能とする最先端技術の開発には、さまざまな無機材料が有する機能がなぜ生まれるのかを理解するとともに、その機能を限界にまで追求することが必要不可欠です。また、先端的な技術を開発するだけではなく、これらの基盤技術がさまざまな産業分野や社会生活で利用するときに、その環境に適合するか(環境適合性)や、長期に渡って利用可能か(持続可能性)も考慮する必要があります。例えば、現在広く利用されている機能性無機薄膜においては、その材料の構成元素について資源枯渇の問題があり、埋蔵量が多く、かつ同等の性能を有する異なる元素への置換可能性などの研究にも取り組んでいる。以上のように、重里研究室では、ただ高性能な無機薄膜材料の開発や、それらを用いたデバイスの提案だけでなく、持続可能な社会の実現と、持続可能性を有しながらの社会の発展に貢献できるような高性能環境調和型機能性無機薄膜物質の創生、開発、ならびにそれらを用いたデバイスの開発といった研究を行っています。

より具体的な取り組みとしては、省エネルギー型表示素子である液晶素子、有機EL素子をはじめ様々な平面型表示素子、太陽電池を含む様々な環境適合型デバイス、そして窓ガラスを含む建築や自動車用材料に応用される透明導電膜に関して、資源枯渇が懸念されているインジウムを含まない材料の探索に取り組んでいます。当研究室では、特に酸化亜鉛系透明導電膜と亜鉛と錫の複合酸化物薄膜に着目し、それらの電気特性や光学特性を支配している構造因子の解析に取り組んでいます。

また、当研究室では可視光応答性を有するWO3光触媒薄膜の高性能化にも取り組んでいます。当研究室では、独自に白金ナノ粒子を触媒表面に分散担持させることでその高性能化を実現しています。ここで、白金ナノ粒子は、典型的な薄膜成長モードの一つであるVolmer-Weber型成長によって形成される点に着目し、Pt薄膜形成の初期過程で生じる島状構造を最適化することで、WO3薄膜の触媒機能の向上に成功しました。この研究成果は、2009年に第34回日本セラミックス協会学術写真賞の最優秀賞、並びにTOEO-6国際会議にてBest Poster Awardを受賞するなど、世界的にも高い評価を得ています。

さらに、当研究室では、薄膜材料の熱物性に関する研究にも取り組んでいます。近年、電子デバイスの高集積化や大容量化にともない、電子デバイスの駆動時の発熱が問題となっています。これらの問題解決のために、さまざまな無機薄膜材料における熱輸送特性の起源やその支配院試の解明に取り組んでいます。例えば、熱拡散率が大きく熱伝導性薄膜として期待されている窒化アルミニウム(AlNx)薄膜をさまざまな成膜条件で作製し、ナノーピコ秒サーモリフレクタンス法による熱拡散係数測定、評価しました。これらの結果から、窒化アルミニウム薄膜の熱物性を支配している構造的要因を明らかにすることに成功しました。この研究に関して、2008年に日本電子材料技術協会優秀賞、並びに日本熱物性シンポジウムベストプレゼンテーション賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

こちらの研究要覧もご参照ください。

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